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6.292015
離婚に必要な5つの理由
夫婦間の話し合いで合意して離婚を行うことは可能ですが、相手方が話し合いで離婚に応じない場合、調停・裁判手続で離婚をすることになります。
下記の理由においてのみ、離婚を行うことが可能となります。
① 不貞行為
一方の配偶者が、自由意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを指し、これにより離婚できる可能性があります。
不貞行為で重要なことは、その不貞の証拠を集めることです。浮気・不倫相手と、ホテルや自宅への出入りなどの写真が必要となります。
(例:配偶者である夫または妻が、他の男性・女性と肉体関係を持った)
② 悪意の遺棄
正当な理由なく、夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務などを行わないことを指し、同居を拒む、協力しないといった場合には離婚できる可能性があります。
別居した目的、生活費送金の有無、別居期間などを総合的に判断して決まります。
(例:生活費を入れなくなった、自宅に帰らなくなった)
③ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないなど
強度の精神病とは「統合失調症」や「躁うつ病」などのことを指し、専門医の鑑定による判断を基に法的に判断されます。
障害のある配偶者を見捨てて勝手に離婚することはできないといったことへの配慮があり、離婚を求める配偶者が誠意ある介護・看護をしてきた、障害のある配偶者に対する離婚後の生活保障があるといった事情がないと難しい傾向にあります。
(例:医師の診断により、適切な結婚生活を続けることが困難な場合)
④ 3年間以上の生死不明
3年間以上、配偶者が生きているか死んでいるか確認できない状態が現在まで続くと、離婚できる可能性があります。
最後に連絡を受けたという証拠が必要で、離婚後に当人が現れても取り消されませんが、生きていることはわかっているが、どこにいるのかわからないという状況ではこれに該当しません。
(例:飛行機の墜落事故などによって生死がわからない)
⑤ その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
上記4つに当てはまらなくても、夫婦関係が破綻して回復の見込みがない場合には、離婚が認められます。
下記をご参考ください。
(例:性の不一致、宗教問題、暴力、ギャンブルなど)
「婚姻を継続しがたい重大な事由」とは?
夫婦間による話し合いで合意があれば離婚(協議離婚)できますが、どちらかのパートナーが性格の不一致を理由に離婚を申し立てても、もう一方が離婚に応じない場合には、離婚手続きを進めることはできません。
夫婦間で話がまとまらず、調停、裁判に話が進んだ場合において、それだけの理由で離婚が認められるケースはほとんどありません。性格の不一致だけでなく他の原因が関係していることも起因し、民法770条1項5号「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかが争点であり、性格の不一致により婚姻生活が破綻して修復不能の状態に陥ってしまっているかどうかが問われます。
客観的に見て婚姻が破綻し、将来的にも修復の可能性がないという場合のみ離婚の請求が認められます。
① 性生活の不一致
性生活(性的不満・性的異常)の不満が離婚原因として直接的に表に出ることは少ないですが、過去の判例でも夫婦の性生活が円満な婚姻生活の重要な要素として認識されています。
行為を強要したり、拒絶すると暴力を振るうなど、相手の意思に反して継続して行われる場合には、婚姻を継続し難い重大な事由として認められています。
また、セックスレスが続いたり、同性愛者であることを隠して結婚した場合も、性生活のために愛情がなくなり破綻に至ったと判断されれば、離婚原因として認められています。
② 信仰・宗教上の対立
信仰、宗教活動の自由は憲法で保障されているため、信仰上の違いだけでは離婚原因として認められず、これら信仰・宗教の自由は夫婦間の中でも守られなくてはいけません。
しかし、宗教活動が原因となる離婚裁判が増えています。宗教活動の勧誘のために外出し、仕事、家事、育児などをおろそかにして生活破綻を招くなど、節度を超えた宗教活動などは離婚原因として認められます。
③ 暴力・暴言・虐待
暴力を振るった方と振るわれた方では、話を進めるにあたって受け止め方が違いますが、顔が腫れる、体にアザができる、酒乱で容赦なく暴れて身の危険を感じる、子供に手をあげるなど、それら行為が繰り返されれば離婚原因として認められている例は多くあります。
家庭内での暴力・虐待は、婚姻を継続し難い重大な事由として代表的なものです。暴力を受けた方は身体的・精神的にもショックが大きく、暴力を振るうパートナーには厳しい判決の傾向があります。
医師の診断書など、暴力の被害を受けた事実を証明することができますので、それを証拠に離婚が認められますが、一過性の暴力の場合にはその原因も考慮されて審議されます。
④ 犯罪を犯して刑務所に服役
どちらか一方が犯罪を犯して服役した場合でも、殺人などの重大犯罪でない限り、すぐには離婚原因として認められることはありません。
しかし、軽度の犯罪でも懲役刑の執行を受けて、家庭生活に支障を与えるなど正常な婚姻生活が営めないと判断されれば離婚原因として認められ、当事者間の婚姻継続の意思、夫婦生活の状況、未成年の子などの事情が総合的に考慮されます。
⑤ 親・親族との不和・嫁姑問題
双方の親の不和、配偶者の親族との不仲から離婚に至るケースも少なくありません。
嫁と姑との関係がぎくしゃくしても、直接的には夫婦の問題とは言えませんが、配偶者の両親と同居している場合など、夫婦関に影響を与える大きな問題となります。
調停では、他の事由においても夫婦・家庭円満の努力を要求されますが、それでも同居する姑との不和が続き、パートナー(夫)が非協力的であったりした場合には、婚姻破綻の責任が出てくる可能性がありますので、離婚の請求ができます。
⑥ 家事や育児に協力しない
現在は夫婦共働きが多くなりましたが、パートナーが子育てや家事に非協力的な場合、夫婦の扶養義務・協力義務違反として離婚原因として認められることがあります。
家事・育児に協力しない事が原因で婚姻関係を破綻させて、その改善に期待できないと判断されれば「悪意の遺棄」として民法第770条1項2号に該当する可能性があります。
専業主婦である妻が、家事や育児を放棄してしまえばこれも悪意の遺棄と判断され、離婚請求として認められます。
⑦ ギャンブルや浪費
貯金していたお金を引き出してギャンブルをする、遊ぶ目的でサラ金から借金を繰り返すなどを行い、長期間、家庭に生活費を入れない場合は、夫婦の扶養義務違反に当たり「悪意の遺棄」として離婚原因が認められます。
これら事実を証明できる証拠(通帳のコピー、借用書レシート、その当時の日記など)を集める必要があります。