BLOG
4.112019
戸籍・戸籍謄本・附票って種類がごちゃごちゃでわからない!
戸籍謄本(こせきとうほん)とは?
戸籍謄本には、戸籍法に定められている「氏名」「生年月日」「父母の氏名」「出生地」などの全員の記載があります。
婚姻している場合には「婚姻日」、一般的には親の戸籍から出て新たに戸籍を編成することになりますので「従前戸籍」(じゅうぜんこせき)の本籍地が記載されています。戸籍謄本を取得するには本籍地の市区町村の役所に申請することになります。上京するなどして、現在の自分の住所地と本籍地が離れている方も多いと思いますが、郵送による取り寄せも可能です。郵送で申請する場合には、事前に市区町村の役所に必要書類を確認しましょう。
戸籍制度は日本や韓国などの一部の国にしか無いシステムなのですが、日本には米国の「社会保障番号」 (Social Security Number) のような身分証明システムがないため、例えばビザの取得などで公的な身分証明が必要となった場合に、戸籍謄本が利用されます。
※戸籍謄本は戸籍全部事項証明とも言われます
戸籍抄本(こせきしょうほん)とは?
戸籍謄本がその戸籍に記載ある方全員の事項を写したものに対して、戸籍抄本とは戸籍の一部の事項を写したものになります。一部とは全員ではなく、その戸籍の1人以上を指定したものとなります。
筆頭者(ひっとうしゃ)とは?
戸籍の1番初めに記載されている方が戸籍の筆頭者となります。婚姻により戸籍を編製するときに氏をそのまま継続する方が筆頭者となります。この筆頭者は死亡によって変更することはありません。
戸籍の附票(ふひょう)とは?
戸籍がある本籍地には、戸籍謄本のほかに戸籍の附票があります。
戸籍の附票とは、その戸籍に記載のある方の現在住所と新しく戸籍を作ったとき(本籍を定めた)以降の住民票の住所の移転経歴が記載されています。例えば、不動産等で所有権の記載がある住所地が移転のために旧住所地が記載されていることがあります。住所の移動を証明するために、この戸籍の附表を使用することができます。
戸籍の電算化
現在交付される戸籍謄本には、昭和23年に作られた戸籍と平成6年に作られた戸籍の様式があります。
平成6年から戸籍法の改正があり戸籍の電算化が始まっていますが、いまだ電算化をしていない市区町村があるため様式が2種類ということになります。電算化への戸籍様式の変更の前にも、明治・大正・昭和に数回の戸籍様式の変更がありました。
戸籍が必要なケースは?
戸籍が必要なケースとして代表的なものは、パスポートの申請があります。その他にも相続の手続きや転籍手続き、さまざまな免許の申請にも必要になる場合があります。
戸籍 | 個人の家族的身分関係を明確にするため、夫婦とその未婚の子とを単位として、氏名・生年月日・続柄などを記載した公文書 |
---|---|
戸籍原本 | 戸籍事務を取り扱う市区町村長が、最初に作成した戸籍 |
戸籍抄本 | 戸籍の記載のうち、請求者の指定した一部を転写した証明文書 |
戸籍謄本 | 一戸籍の記載の全部を転写した証明文書 |
戸籍筆頭者 | 各戸籍の最初に記載されている人 |
戸籍簿 | 同一市町村内の戸籍を地番順および戸籍筆頭者の氏の五十音順に綴った帳簿 |
戸籍法 | 戸籍制度を規律する法律。現行戸籍法は1947年(昭和22)制定。民法改正に伴う家の廃止により、従来のものを根本的に改めたもの |
戸籍のQ&A
戸籍謄本には何が書かれているの?
父母や養父母の名前、出生年月日、婚姻関係などが書かれています。国が定めた方法で公的に書かれていますので、公的に書かれた内容を証明することができます。
戸籍謄本の役割は?
日本においては、戦前、日本国が国民を「家」という単位で管理統制するために作ったものなのですが、戦後は日本国籍の人の身分証明として利用されるようになりました。
戸籍謄本ってどういうときに必要なの?
旅券(パスポート)の交付を受ける場合や海外に移住する場合など、公的に身分を証明する際に必要になります。
戸籍謄本は海外にもあるの?
海外では「家」という単位よりも「個人」の単位で考える傾向が強かったため、日本以外では韓国などの一部の国でしか戸籍謄本のようなシステムは存在しません。
例えば、アメリカ合衆国の場合、社会保障番号(SSN)でその人の身分を証明しています。つまり、戸籍謄本がない国でも何かしかの形で身分証明をしているということになります。
戸籍謄本を請求するときの筆頭者って何?
戦前は「家長」のことでしたが、戦後は単に、結婚とかで新しく戸籍謄本が作られた場合、その戸籍謄本の一番はじめの欄に記載される方のことを指すようになりました。
役所の人は、本籍地と筆頭者の情報を基に膨大な戸籍謄本の中から目的の戸籍謄本を探し出すのです。筆頭者は、住民票の世帯主とは違います。
戸籍謄本と戸籍抄本の関係って?
戸籍謄本は戸籍に記載されている人全員のすべての記事が書かれていますが、戸籍抄本(戸籍一部事項証明)には、その中の身分証明が必要な一部の人が抜粋されて記載されています。
戸籍謄本と旅券(パスポート)の関係は?
旅券(パスポート)は戸籍謄本を基に作られているのである程度の身分証明能力がありますが、戸籍謄本に書かれているような細かい身分情報までは書かれていないので証明能力に限界があります。
戸籍謄本と住民票の関係は?
戸籍謄本は身分を証明することが主目的ですので現住所までは書かれていません。もし、現住所の証明が必要であれば住民票が必要になります。
逆に、住民票には日本国籍であるかなどを判別する情報までは書かれていませんので、日本国籍を持っていることの身分証明を行う必要がある場合は戸籍謄本が必要になります。
戸籍謄本と出生届および受理証明書の関係は?
出生証明が必要な場合、日本国籍の人は戸籍謄本で通常は大丈夫ですが、細かい出生状況の情報が必要な場合には出生届け及びその受理証明書が必要になります。
日本に住んでいるものの日本国籍を取得していない外国人の出生証明は、出生届け及びその受理証明書で行うこととなります。
除籍って?
婚姻や離婚、養子縁組などによって他の戸籍に入ったり、死亡したり、日本国籍をなくしたりした場合、もともと記載されていた戸籍謄本には属さないことになります。このことを除籍といいます。
ちなみに、古い戸籍謄本だと、名前の所に「X」をつけて除籍していたことから、離婚すると除籍に伴い戸籍謄本に「X」がつきますので、バツイチ、バツニと湾曲的に表現することがあります。
改製原戸籍って?
法律の改正に伴って書き方(様式)が変更されて、古い書き方の戸籍謄本の代わりに新しい書き方の戸籍謄本が作成されると、古い書き方の戸籍謄本の方は「改製原戸籍」(”かいせいはらこせき” または “かいせいげんこせき”)として保管されることとなります。
この改製原戸籍は通常は不要なのですが、戸籍謄本のトレンドが簡略化に向かっていることから古い改製原戸籍を見ないと昔の身分証明ができない場合があります。
昔の身分証明が必要になることはあまりありませんが、万が一、必要になる場合には、役所に改製原戸籍の戸籍謄本を請求することになります。
通常、改製原戸籍といった場合には、戦後の戸籍法の改正に伴う戸籍謄本の改製で生じた古い書き方(様式)の戸籍謄本を指しますが、近年はコンピュータ 化に伴って書き方(様式)が大幅に変更された市区町村もありますので、そのような市区町村では、戦後の戸籍法の改正に伴う戸籍謄本の改製で生じた古い書き方(様式)の戸籍謄本のことを「昭和改製原戸籍」、最近まで使われていた縦書きの戸籍謄本を「平成改製原戸籍」として区別することもあるようです。
【戸籍謄本の入手方法】
戸籍謄本は本籍地の市町村役場で入手します。
本籍地が遠い人は郵送で取り寄せることが可能ですが、1週間ほどの期間は見ておく必要があります。
- 戸籍謄本請求書 (記入・捺印)
- 手数料分の定額小為替(郵便局で発行してもらう)
- 返信用封筒(宛名に自分の住所氏名を記入、切手貼付)
- 運転免許等、自身を証明できる書類のコピー
- 戸籍謄本請求書には特定のフォームがありませんので以下のような内容で書けば良いでしょう。
- 手数料は請求先の市町村の役場に問い合わせてください。
- 返信用封筒に貼る切手は90円としておいた方が無難でしょう。
- 不明な点は市町村の役場に問い合わせて明確にしてください。
- 本籍は運転免許証等を照合するとよいでしょう。
- 用途は、例えば「米国に移住する際の身分証明のため」などと書けばよいでしょう。
- 筆頭者氏名とは戸籍謄本の一番最初に書かれている人です。昔の家長の概念を引きずるものですが、現在では単に戸籍謄本を管理するためのキーワードにすぎません。住民票における世帯主と違い、生計を支えている人物である必要や生きている人物である必要はありません。
【戸籍謄本請求書】(例)
○○区市町村長様 令和1年5月1日
■申請者
住所
氏名 印
電話番号
■必要な書類
戸籍謄本 ○○通
本籍
筆頭者氏名
■申請者の関係等
本人・夫・妻・子・孫・父母・祖父母
■用途
■手数料(定額小為替)○○円