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3.282017
離婚時に子供の親権を得るのは8割強が母親!父親はどうなる?
浮気調査で証拠を有しました。パートナーまたは相手に慰謝料を請求して離婚するとします。子供はどうなりますか?
今年1月、離婚をめぐり子供の親権が争われていた裁判で、東京高等裁判所は妻を親権者とする判決を下しました。
ごく普通の内容に思えますが、実は一審の判決では夫側に親権を認められていたのです。
子供(9)の親権を争っていた40代の夫婦は、2010年頃に別居、当時2歳の子供を妻が実家へ連れて帰りました。何度か夫と子供の面会交流があったもののすぐに途絶。夫は6年近く子供と会えない状況が続いてしまったのです。
従来では「現状維持の原則」を重視し、子供が10歳未満の場合は、同居中の親に親権を認めることが通例でした。
しかし昨年3月の家庭裁判所では、夫が母子の面会交流を年間100日認めるといった寛容的な条件を提示したことで、夫に親権が認められていたのです。
今回のように長い時間が経過していると、子供と同居していない夫としては非常に不利に働きますし、親権を得ることができるのは統計上で母親が8割強、父親に親権が渡る可能性は非常に低いのです。
財産管理権と身上監護権(子供の世話やしつけ、教育をする権利)を有し、未成年者の子供を養育し、その子供の代理人として法律行為をする権利を指す。
【面会交流権】
子供と直接会ったり(直接交流)、手紙や写真を送り合う等して親子の交流をする権利。通常、月1回程度で2~3時間の面会が多い。
父親が親権者になるケースは?
では、父親が子供の親権者になるケースは何でしょうか?
先ほど述べた「現状維持の原則」で子供が父親と同居して、母親が離れていた場合、父親が親権者になる可能性は高くなります。母親の子供虐待・放置が疑われる、母親の精神状態・心身状態が著しく悪いといったケースでも、父親が親権者になる可能性がグンと上がります。
その他、子供を意図的に連れ去り、父親に会わせないようにするのも母親に不利に働きます。
- 夫婦が別居期間中に、子供が父親の元で暮らしていた
- 父親に十分な収入があり、子供の発育環境が整っている
- 母親が子供を意図的に連れ去り、父親に会わせないようにした
- 父親の方が面倒見が良く、子供に対する愛情を注いでいる → 証明することが難しい
- 母親の子供虐待・放置が疑われて適格性に欠けている → 保護責任者遺棄罪に問われる可能性も
冒頭で述べた裁判では、夫側は東京高裁の判決に不服とし、上告の意向を示しています。
一審(家裁)で夫側に、二審(東京高裁)で妻側に親権が認められたこの裁判、最終決着まで目が離せません。
親権をめぐるポイント!
- 現状では、10歳未満の子供の親権は8割強で母親が得る
- 現状維持の原則=現在まで生活している環境(学校、友人関係、慣れてきた環境)を変えずに養育するのが良い
- ある程度の年齢(12~15歳以上)に達している場合には子供の意見も尊重される